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歴史年代ゴロ合わせ暗記>徴用工問題

徴用工問題をわかりやすく


 第二次世界大戦中に多くの朝鮮半島に住む人たちが日本に連れてこられて工場や炭鉱などで働かされていました。その時に日本で働かされ辛い思いをした人たちが「賠償してくれ」と訴えている問題が
徴用工問題です。

 しかし、この徴用工問題や慰安婦問題などは、1965年の日韓基本条約によって解決しているとされています。これってどういうことなのでしょうか?

 
当時の時代背景

 当時の朝鮮半島(韓国や北朝鮮)は、1910年から日本の支配下にありました(日韓併合)。

 そんな中、1941年に太平洋戦争が始まります。日本では、人手が足りないので工場や炭鉱などで働かせるために労働力として朝鮮半島から多くの人を連れて来たんです。もちろん、すべての人が無理やり連れてこられたわけではなく、給料がいいからといった理由で出稼ぎとして自分から進んで来た人たちもいます。

 しかし、そんな人たちも「何これ!思ってたよりずっと辛いんですけど!」ってなってもすぐに朝鮮に帰れるわけもなく我慢して働くしかなかったんですね。また、日本は戦争中ですので巻き込まれて一生残る怪我をした人や命を落とした人たちもいました。

 こういった人たちやその遺族の人たちが日本の企業などを相手に訴えているわけです。実際、給料が未払いのケースなどもあります。

 しかし、そのほとんどが訴えた側の敗訴です。2018年に韓国の最高裁にあたる大法院が新日本製鉄に対して韓国人4人に1人1000万円の損害賠償を命じましたが、それまで元徴用工の人たちに対する賠償は、ほとんどされておりませんし、この2018年の判決に対しても日本側としては
日韓基本条約によって日本に対する韓国の請求権は放棄されているので払う必要なしという判断です。

 
日韓基本条約

 では、その日韓基本条約とはどういったものだったのか?

 日韓基本条約は、1965年に締結された条約です。日本から韓国に経済援助をする代わりに韓国は対日請求権(日本に対して賠償を請求する権利)を放棄しますという内容・・・。う〜ん。なんだか分かりづらいですよね。

 そうなんです。当時の互いの立場などから実に曖昧な条約なんです。

 日韓基本条約は、1965年に締結されていますが、話し合いは1951年から始まっています。それから、交渉、交渉決裂を繰り返し、やっと14年後に締結です。なぜ、そんなに時間が掛かったのか?

 話し合いで折り合いがつかなかったのが「金額」と「名目」・・・。韓国としては、「賠償(請求権)」として最初は21億ドルものお金を請求してきます。しかし、日本としては、まず「賠償」という名目では、お金を払えない。つまり、謝りたくないんですね。だって、当時の日本の考えとしては、植民地を持つのなんて当たり前、しかも、日本はお金を使って韓国に学校を建てたり、道路を整備してあげたじゃないか!っていうような立場・・・。

 実際、話し合いの過程で「韓国が莫大な請求をするなら、そこから日本が韓国に建ててあげた建物やら道路やらの分を差し引け!」っていうような発言もあり問題となっています。これに対して韓国は「そもそも日本が韓国に建てた建物などは韓国人のために建てたわけじゃなく。日本人のために建てたのだろう!それを返せというのなら、我々の屈辱の日々を返せ!」と両者一歩も引かない状態・・・。

 結局、韓国にて1961年にクーデターで政権をとった朴正煕大統領が韓国の近代化には日本からの資金援助が必要不可欠であるという考えから1965年に日韓基本条約は締結にいたります。

 では、どうやって話の折り合いをつけたのかというと・・・。

 日本としては、韓国に「
経済援助」としてお金を渡します。しかし、韓国側の受け取り方としては「賠償」として受け取りました。各々、国民には都合のいいように説明したんですね。

 ですから、日韓基本条約は、日本語、韓国語、英語と3カ国語で文章が作成されており、それぞれの条約の翻訳はそれぞれの国に任せるという曖昧なものになりました。もし、何か問題があったら、その時は英文に基づくというものです。なので植民地支配に関しても「もはや無効」といった曖昧な表現がされております。「不当で不法」とか「そもそも無効」とかじゃなくて「もはや無効」です。

 さて、肝心な徴用工への賠償ですが、この条約や同時に結ばれた日韓請求権協定に徴用工や慰安婦といった言葉は出てきません。

 当時の韓国の国家予算が3.5億ドルの中、3億ドルが無償援助。2億ドルが有償援助(低い金利でお金を貸すこと)、民間企業からも3億ドルの資金援助がされますが、それらの殆どが韓国の道路やダムなどといった近代化のために使われました。

 日本は、「韓国に経済援助をしますよ。その代り、韓国での個人の賠償については韓国政府がやってね。」ってことになっていたんですね。なぜ、個人補償にまで突っ込まなかったのかというと、そこまで突っ込むと日本が「個人に補償」つまり、謝ったことになっちゃいますからね。立場としては、あくまで経済援助です。その代り、韓国に対して請求権を放棄させます。

 まぁ、交渉の時に日本も個人補償するような話はしていたんですが、「個人といっても誰にお金渡せばいいかわからんから、韓国側で名簿用意しろ」っていうんですね。韓国は、「そんなの日本が情報持ってるでしょ?日本で働いてたんだから。俺たちが調べられるわけないじゃん」ってことで決裂しています。まぁ、日本は個人補償という名目で払う気はなかったでしょうね。

 韓国も貰ったお金の殆どを近代化に使い。個人の補償については国が発展してから面倒見ればいいという考えでした。などで個人補償はほどんどないがしろです・・・。

 
そして、問題再発・・・

 韓国では、2017年に文在寅大統領が就任します。この文在寅大統領は、16代大統領、廬武鉉と共に若かれし頃に軍事政権に反対し活動していた人物です。

 その反対していた時代の軍事政権の大統領は誰か?そう、日韓基本条約締結の時の大統領である朴正煕でした。

 朴正煕時代に締結された日韓基本条約では、保証が十分ではない。当時は、韓国の民衆の意見を聞かずに資金欲しさに勝手に日本との国交を正常化してしまった。この日韓基本条約は、韓国人に対して賠償などが十分ではないという考えなのでしょう。

 実際に大法院(韓国最高裁)の判断も「植民地支配の不当性を認識していない以上、徴用工問題は請求権協定(日韓基本条約と同時に結ばれたもの)の枠外であるとしています。

 つまりは、互いの立場で折り合いをつけた日韓基本条約。当時の韓国政府は経済発展のために植民地支配についても「もはや無効」で納得してしまいましたが、これは間違いで「そもそも無効」だろ!これらの間違いの歴史的認識を正さなければならないというわけです。


 
徴用工問題の解決策

 出口の見えないとも思える徴用工問題。しかし、元徴用工の人たちもすでにお爺ちゃんになっています。もう、早く解決しないといけないんですね。

 では、どのように解決すればいいのか?

 本来は、日韓基本条約の時に個人賠償は韓国側が果たすとしているので韓国政府が行うべきなのですが、日本に弱腰だ!日韓基本条約を見直せ!と言われかねないのでなかなかそれもできません。

 日本としても賠償を日本企業にさせれば韓国に対して弱腰だ!日韓基本条約は何だったんだ!あの時のお金はどうしたんだ!って言われてしまします。なので両政府なかなか動けないんですね。

 しかし、実際のところ元徴用工の人たちに賠償金払ってもいいよという企業が日韓ともにあります。

 日韓基本条約により、多額の資金が韓国に流れ、その資金で会社を大きくした韓国企業や多額の資金と共に韓国に技術支援として日本の企業も韓国にて仕事をしていたんですが、その時にいっぱい稼いだ企業。また、実際に徴用工裁判で訴えられている企業。それらの企業でお金を出してもいいという会社があるんですね。

 また、観光、芸能、生産業などなど日韓関係が悪化すると多大な不利益を被る会社もありますし、個人的に当時、韓国の徴用工の人と働いていた人や日韓関係をよくしたいと考える人など日本、韓国ともに多くいるはずです。

 こういった人たちからお金を集めれば十分に元徴用工の人たちに支払いができます。

 韓国には「真相糾明委員会」というのがあり、かなりの徴用工の人たちの情報を持っているので、それらと協力し合えば不可能ではありません。

 日韓両政府が、まったくこれらにノータッチという訳にもいきませんが、まずはこういったところから動き、お金を集めれば両政府を動かすことも可能なのではないでしょうか?

 徴用工問題のみならず、韓国人、日本人の垣根を越え、当時の人たちの苦労や悲惨さを純粋に考え、声を聴くことが解決の糸口なのかもしれません。