日英同盟
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19世紀から20世紀初めにかけては、世界は弱肉強食の時代。そんな中で日本は、単独で自国を防衛することは難しく、大国と手を組むべきであるという見方が強くなっていきました。
そこで三国干渉の後、日本は、ロシアと手を組むべきか、イギリスと手を組みべきかで悩みます。
ロシアといえば、三国干渉で日本が清との戦争で勝利し、せっかくもらった遼東半島を返せと言ってきた国!そんな国と手を組むなんてもってのほか!って思っちゃいますが、伊藤博文などはロシアと手を組むことを主張しました。アヘン戦争の時なんかは、イギリスは結構めちゃくちゃしてましたからね。その時代を知る伊藤らは、「イギリスなんかヤバいじゃん!アジア進出狙ってそうじゃない?」って感じだったんでしょうね。
対する、小村寿太郎や桂太郎らはイギリスと手を組むことを主張します。
この論争に決着をつけたのは小村寿太郎の意見書でした。その意見書が次の内容です。
日露条約の問題点
●ロシアと結んだとしても一時的には、東洋の平和を維持できるであろうが、ロシアの侵略主義は到底これに満足しないから、長期的な保障とはならない。
●シベリアは将来別としても、現状では経済的利益は小さい
●最近、清の人たちは上下ともに日本に対して友好的な感情を持っているがロシアと結ぶことで清の感情を害しては清における日本の利益を損ずることになる。
●イギリスの海軍力に対抗しなければならなくなる。
日英条約の利点
●アジアにおけるイギリスの目的は領土拡張ではなく、現状維持と通商利益であり、イギリスと結べばロシアの野心を制して、比較的長く東洋の平和を維持することができる。その為、日英条約は平和的、防衛的として国際世論からも支持される。
●イギリスと結べば、清はますます日本を信頼し平和の利益を増進する。
●韓国間問題を解決するには、他の強国と結んでロシアがやむをえず日本のいうことを聞くようにするほかない。イギリスは同盟を結ぶのにもっとも適当な国である。
●イギリスと結べば日本の経済についての国際的信頼を高める。さらにイギリス人は同盟国の共通利益ということで日本に対して財政上、経済上の便宜をはかるだろう。
●イギリスとシベリアでは、日本にとっての通商上の価値は比較にならない。
●ロシアの海軍力は、イギリスの海軍力に対抗するよりも容易である。
この意見書が1901年に政府の方針として採択され、1902年に日英同盟が締結。実際に、ロシアは朝鮮半島に進出を企てていたので小村寿太郎の判断は正しかったといえますね。
それにしても、見事に当時の世界情勢などを分析し、日露条約、日英条約どちらが優位であるかを的確にまとめ上げていますね。
この小村の判断で結ばれた日英同盟はその後、20年間、日本の安全と繁栄に大きく貢献することになります。まさに日本の分岐点となった判断だったといえますね。
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