歴史年代ゴロ合わせ暗記 

歴史年代ゴロ合わせ暗記>天皇という呼び名は最近使われ始めた

天皇という呼称は900年以上使われていなかった

 
 現在では当たり前のように「天皇」という言葉を使っていますが、実は、この天皇という呼称が一般的に使われるようになるのは比較的最近の話です。

 5世紀のヤマト政権では盟主は大王と呼ばれていました。天皇の祖先と言われていますね。この大王が天皇と呼ばれるようになったのは7世紀後半に在位した天武天皇の時代と言われています。ただし、公家の名簿『雲上明覧』によれば62代村上天皇以降は、天皇号は送られていません。

 当時の天皇の呼び名としては「御門(みかど)」「禁裏(きんり)」「内裏(だいり)」「禁中(きんちゅう)」「御所(ごしょ)」といった住まいを表す言葉や「主上(かみ)」といった敬称で呼ばれることが一般的でした。

 ちなみに当時の上皇や崩御した天皇を指す言葉としては「院」という言葉が使われています。

 こうして、今では当たり前のように使われている「天皇」という呼び名ですが、900年もの間使われることはありませんでした。

 再び「天皇」の呼び名が復活したのは江戸時代の末期、光格天皇の時代です。



 1840年に光格天皇が崩御すると、それまでの功績を讃え、公家から天皇号を贈る案が出され幕府もそれを許可しています。

 「院」という文字を使った戒名は裕福な庶民でも使うことが許されているんですが「天皇号」だけば別格で貴族であっても武士出会ったも使用することが出来ないんですね。それだけ、「天皇」というのは特別な位なんです。

 時代は江戸末期。まだ、表面化はしていないものの幕府の影響力が弱まり、尊王思想が高まりつつあったことも影響していたのでしょう。

 ただし、明治時代になっても尊号は「院天皇」が使用されており、天皇に一本化されたのは1925年になってからです。しかし、それでも一般的には「お上」「主上」などの呼び名が使われており、軍部などでも「大元帥」などが使われていることが多く、天皇号の定着は昭和になってからとなります。

 長い歴史をもつ天皇家ですが、天皇という呼び名自体はその歴史の中のごくわずかな期間でしか用いられてこなかったんですね。