『最後の晩餐』でイエスの隣の人物
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レオナルドダヴィンチの描いた「最後の晩餐」。この作品は、イエスが処刑される前日の夜に弟子たちとともに食事をしている光景を描いたものです。新約聖書の『ヨハネの福音書』第13章に書かれたワンシーンを切り取って描かれています。
『ヨハネの福音書』によれば、”イエスは「あなたがたのうちの1人が私を裏切ろうとしている」といった。弟子たちは、互いに顔を見合わせた。そして、イエスが愛していた者がイエスの胸の近くの席についた”とされています。
ダビンチの描いた「最後の晩餐」は、まさにその瞬間を描いているわけです。
ヨハネの福音書には、この「イエスが愛した者」が誰なのか?それが記されていません。

つまり、イエスの右側、絵を見ている側にとっては左側の人物こそが「イエスが愛した者」ということになりますが、先入観なしで見てみると普通、女性に見えるはずです。

髭もなく、ピンク色の布をまとい、金髪の長い髪・・・。
イエスの選んだ12人の弟子の中に女性はいません。では、ダヴィンチは誰を描いたのか?
一時、流行った説では、マグダラのマリアという説がありました。このマグダラのマリアという女性は、つねにイエスに付き添っていた人物でイエスの処刑にも復活にも立ち会っています。このマグダラのマリアが「イエスの愛した者」であり、それをダヴィンチは知っており、『最後の晩餐』の中にメッセージとして込めたというのです。
しかし、一般的には、このイエスの隣の人物は十二使徒の中で一番若いヨハネだといわれています。
では、なぜ女性のように描かれているのか?

上の絵は、ダヴィンチよりも前の時代の作品でピエトロ・ロレンツェッティの『最後の晩餐』です。イエスの胸に寄りかかっているのがヨハネですが姿はそれほどでもないにしろ、しぐさは女性のようですね。
ヨハネという人物は、甘えがちな若い弟子といったイメージがある為、多くの作品でしぐさや外見を女性っぽく描くことが多かったんです。
つまり、ダヴィンチもヨハネを女性的に描いただけであって、マグダラのマリアを描いたわけではないというわけですね。
さらに言えば、ダヴィンチは、自身の作品の中でマグダラのマリアを描いたことはありません。
では、ダヴィンチはヨハネは描いているのか?

描いています。最後の晩餐ほど女性っぽさはないですね。でも、やっぱり髭もなく、ちょっと中性的。
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