歴史年代ゴロ合わせ暗記 

歴史年代ゴロ合わせ暗記裁判員裁判

裁判員制度の問題点

 
 2009年5月から始まった裁判員制度。2019年10月までに裁判員を務めた人は補充裁判員(欠員が生じた場合、その裁判員に変わって裁判員を務める人)を含め9万5105人になっております。

 しかし、この裁判員制度にも多くの問題点が指摘されるようになってきました。そのひとつが辞退率です。

 制度が開始された当初の辞退率は53%ほどでしたが年々右肩上がりに辞退率は上がり2018年では67%の人が裁判員を辞退しております。

 
裁判員制度の問題点-辞退率

 裁判員に選ばれると仕事を何日も休まなければなりません。会社の仲間には迷惑が掛かりますし、いくら休みを取ることを法律で認められているとはいえ長い間の休みは気が引けますよね。

 では、どれくらい会社を休む必要があるのか?

 裁判の日数が年々増えていっているのも辞退率を上げる要因となっているようです。2009年の初公判から判決までの日数は3.7日でした。これくらいなら休みとっても問題ないですよね。しかし、2018年は10.8日となっています。10日会社を休むのはキツイですね。

 
裁判員制度の問題点-守秘義務

 しかしながら、実際に裁判員を経験した人のアンケートでは「非常によい経験をした」と答えた人が63.8%。「よい経験をした」が32.9%と97%ほどの人がやってよかったと感じているんです。しかし、これが共有されません。なぜなのか?

 守秘義務があるからです。

 現在の守秘義務はとても厳しく、事件関係者のプライバシーに関わる内容、非公開の場で議論された評議の内容などを他の人に話すことは禁止されており、違反すると罰則があります。

 ですから、「よい経験だった」と感じた人が多いのに、それを他人に語ることは少ないのです。

 よい経験が周りに共有されるよう、ある程度、守秘義務を緩和することが出来れば辞退率が改善されるかもしれませんね。

 
裁判員制度の問題点-心のケア

 証拠として示されたものの中には凶器や遺体の写真もあります。これらにショックを受ける人も少なくありません。一応、こういったもので精神的にショックを受けたり不安や悩みを持った人にも電話にて相談できる窓口が設けられているのですが、周知が不十分で利用されているケースは少なく、十分に機能していないのが現状です。裁判員を務めた人にはしっかりとこういったケア対策のことを説明し、またカウンセラーに気軽に相談できるような仕組みも必要でしょう。

 
そもそも裁判員制度って何なのか?

 かつての裁判では、裁判官、弁護士、検察官といった法律の専門家のみで行われていました。しかし、一般の市民に分かりにくいということで裁判に市民の視点や感覚をとりえれて、裁判に対して理解と信頼を深めてもらおうと始まった制度です。

 裁判員裁判は、刑事事件が対象となります。殺人や放火といった重大事件が対象となり、事件ごとに6人の裁判員が20歳以上の選挙権がある国民の中から選ばれ、3人の裁判官とともに有罪か無罪か、そして量刑を決めます。

 
陪審員制度と裁判員制度の違い

 アメリカの陪審員制度では、有罪か無罪かを決めるだけですが、日本の裁判員制度は刑の重さも決めるんですね。ただし、陪審員裁判は裁判官の助けがほぼありません。陪審員だけで評議し有罪か無罪かを判断します。また評決も全員一致を原則とします。裁判の過程で直接、証人や被告人に質問することもできません。

 対して、日本の裁判員制度では、法廷で直接、証人や被告人に質問もできますし、プロの裁判官の指導を受けることもできます。評決では、裁判官と裁判員の過半数の賛成が必要となりますが、被告人に不利な判断の場合は、裁判官1人の賛成が含まれていることが条件となります。

 
自分の決定で量刑が決められるのは怖い

 プロの裁判官と共に評議されるのでアメリカの陪審員制度ほどの精神的、心理的な不安は少ないとされています。また、裁判は最大で3回行われ、裁判員裁判は第一審のみです。この判決に検察側か被告人側が不服とすると第二審(高等裁判所)に控訴することも可能ですし、その判決でも不満であれば第三審(最高裁判所)に上告することもできます。

 しかし、それでも不安や悩みを抱えてしまう裁判員経験者の方も少なくありません。心のケアなどを重視して改善していかなければ辞退率は更に増える可能性もあります。