歴史年代ゴロ合わせ暗記 

歴史年代ゴロ合わせ暗記リクルート事件

リクルート事件

 
 1988年(昭和63年)6月、朝日新聞にリクルートの子会社であるリクルートコスモスの未公開株が川崎市の助役に譲渡されたという記事が掲載されました。

 リクルート社というのは、今でも有名ですね。当時も求人や不動産の情報などを扱い急成長真っただ中の企業でした。その子会社のリクルートコスモスという主に不動産を扱う会社ですが、これの店頭公開が間近に迫っており、公開されれば株価の急騰は間違いないっていうものだったんですね。

 その未公開株が川崎市駅前の開発事業を担当していた助役に渡っていたというんです。

 当時、川崎駅前にリクルート社のビルが建設されたばかりでしたから、リクルート社のビル建設に便宜を図ってもらうために市の助役に未公開株を渡したのだろうということは明白でした。

 それまでは賄賂というと現金でしたが、未公開株を渡すという手法とその売却益が1億円という額に注目が集まります。

 ですが、まぁ、ここまではよくある贈収賄事件です。

 しかし、ここから事件が大きくなります。

 リクルート社の江副浩正社長が記者会見で「自治体の払い下げの土地の横流しで儲けているのでは?」という記者の質問に対して「川崎市の助役のような小物を相手にしているわけではない。私が相手にしているのはもっと大物の政治家だ」と口を滑らせ大騒ぎになります。

 その後の捜査でリクルートコスモスの未公開株を受け取った政治家は自民党のみならず、社会党、公明党、民社党まで広がっており、文部省、労働省の事務次官ら、またNTTの当時の会長、日本経済新聞の社長まで巨額の売却益を得ていたことが発覚します。

 まさに政界から官界、財界、マスコミまで巻き込んだ特大クラスの疑獄事件になったのです。

 未公開株を譲渡して上場によって儲けさせるという新しい賄賂の方法に各界の要人たちがこぞって乗っていたわけです。

 しかし、なぜ江副氏が、これほど幅広く賄賂をバラまいたのか?

 一般的にはリクルート社が政治的財界的地位を高めるためと言われていますが、実際のところよくわかっていません。未公開株の譲渡対象がやたらと広く、職務権限によって便宜を図ってもらうにしても、その関連性が薄いところにまでバラ撒いていますので便宜供与を図ってもらうためというよりは、やはり、各界要人に顔をつないでおこうといったところのようです。

 検察当局は、結果、大物政治家を立件することはできず、逮捕、起訴された政治家は藤波孝生もと官房長官と池田克也元衆議院議員(公明党)だけで、官界ほかも7人に有罪判決が下るにとどまりました。