リカードの比較優位
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デビット・リカードはイギリスの経済学者でアダム・スミスの国富論の影響を受け「比較優位」という考え方を唱えました。
比較優位というのは、貿易の大原理です。簡単に言ってしまえば「貿易をすると両方の国にとっていいことがあるよ。」っていうのを発見し広めたんですね。
貿易っていうと貿易赤字にならないようにしたり、関税を掛けたりしてなるべく輸入しないようにしたりしているイメージがあるけど、貿易をするといいことがあるってどういうことでしょう?
比較優位の原理
比較優位の説明をするとちょっと算数の授業みたいになってしまいますが、これを知っているといろいろと応用ができるんです。学校でも会社でも家庭でもこの比較優位を知っていると効率がよくなることがあります。
ちょっと難しい言葉で比較優位を説明すると『自分の国で生産性の高いものの生産に特化し、他の物を他国から輸入した方がより多くの物を得ることが出来る』というのが比較優位という考え方です。
例えば、日本が労働者1000人で500の自動車を生産したとします。(何個とか何台って考えだとややこしいので数字だけ入れていきますね)。
対するB国は労働者1000人で自動車の生産量は200です。
次に牛肉を日本が労働者1000人で生産が1000。B国は労働者1000人で生産が900です。
まとめますね。
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自動車 |
牛肉 |
労働者 |
生産量 |
労働者 |
生産量 |
日本 |
1000人 |
500 |
1000人 |
1000 |
B国 |
1000人 |
200 |
1000人 |
900 |
まぁ、日本の方が自動車、牛肉ともに優秀ですね。これならB国とは貿易せずに日本だけでやっていった方がいいように思えます。
しかし、リカードの比較優位の考えではちょっと違います。
B国はどちらかというと牛肉の生産の方が得意ですね。まぁ、それでも日本には及びませんが自動車に比べればちょっと負けてるくらい。だったら、思いっきり生産を牛肉に振り分けてB国は自動車をゼロ。牛肉にすべての生産を集中させます。すると1000人で900の生産量だったのが労働力を倍にしますから生産量も倍の1800となります。
日本もB国と比較すれば牛肉よりも自動車の生産が得意。2倍以上の差がついてますからね。なので牛肉の生産を半分、自動車に振り分けます。牛肉の労働者の数は半分になりますので生産量も半分の500になりますが、自動車の生産量は労働者が1.5倍になりますので500の1.5倍で750となります。
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自動車 |
牛肉 |
労働者 |
生産量 |
労働者 |
生産量 |
日本 |
1500人 |
750 |
500人 |
500 |
B国 |
0人 |
0 |
2000人 |
1800 |
上の表のようになりますね。
注目して欲しいのが、両方の国の合計の生産量。最初の表では自動車の日本とB国の合計が生産量は700。牛肉が1900でした。
次にお互いが得意分野に生産を振り分けた表だと自動車の合計が750。牛肉は2300となります。つまり、自動車、牛肉ともに生産量が増えたというわけです。
これがリカードの比較優位の考えです。この考えによって19世紀以降、国際貿易は活発になっていきます。
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