歴史年代ゴロ合わせ暗記 

歴史年代ゴロ合わせ暗記>身元保証人のリスク

身元保証人

 
 会社に入社する際に身元保証人が必要になる場合があります。多くの方は、親族や知人にサインをもらい身元保証人になってもらうわけですが、この身元保証人って何なんでしょう?身元の保証ってどういうことなのでしょうか?

 身元保証とは、社員が会社に対して損害を与えた場合、会社側から損失の補償を身元保証人に対して請求することのできる制度です。

 お金を借りる際にも借主と共に連帯保証人が必要な場合がありますが、それと基本的には一緒です。借主が返済できなければ連帯保証人が肩代わりをするわけですが、身元保証人の場合も保証した人物が会社に損害を与えた場合、その損害を補償しなければなりません。

 ちょっと、リスクが大きい感じがしますよね。身元保証人になったことのある方ならわかると思いますが、多くの方が深く考えずに気軽にサインしてしまっていると思います。ですが、会社に与える損害って途方もない金額である場合も想定できますよね。数千万円とか数億とか!

 そこで2020年4月に民法が改正となり、現在では身元保証契約は賠償責任の上限(極度)額を記載しなかれば無効となりました。この上限額は企業側で決めることになりますが、あまり高いと身元保証人になる人がいないといった新入社員も出てくるでしょうし、そもそもあまりにも高いと民法90条の「公序良俗に違反する法律行為は無効とする」ということで身元保証が無効になる可能性も出てきます。その為、企業側が上限額を決める際は、その社員の業務で将来的に発生する損害額を予測して上限額を設定し、尚且つ身元保証人に対して上限額の根拠が説明できる程度の金額を設定することになります。

 ちなみに身元保証人の期限は定めがない場合は3年。規定があっても最長5年です。ただし、更新することは出来ます。この更新期間も最長5年ですので5年ごとの更新が必要となります。

 さらに社員が遠方などに転勤になる際、本来は身元保証人にその事実を会社側から伝える必要があります。身元保証人の目の届かない場所に保証した人物が移動となるわけですから通知する必要があるというわけですね。

 しかし、身元保証ともなると人によってはなってくれる人がいない、親族にも頼みづらいと悩んでいる方もいると思います。

 ですが、この身元保証の制度は法律上の義務ではないので会社側も社員に提出を強制することは出来ません。どしても、身元保証人が見つからない場合は、会社に対して素直に身元保証人が見つからないと相談しましょう。

 ただし、この身元保証の制度、実際には身元保証人への請求が行われるケースは殆どなく形だけの運用といった企業が殆どです。では、なぜ企業は身元保証人を付けさせるのか?会社側のメリットとしては、採用する社員の適正を確認(その社員を信頼している人物がいるのか)、または社員が知人や親族に迷惑を掛けまいと間違った行動をすることのないよう抑制といった効果が期待できます。

 
それでも、身元保証人になる側からすれば不安という方も多いでしょう。確かに横領や大きな金額でのミスなどあったら肩代わりは大変ですね。しかし、これも仮に社員がミスをして会社に損害を与えたとしても会社側の過失の有無や社員の任務などさまざまな事情を考慮し、裁判所が身元保証人の責任を決定するので身元保証人の責任は限定されます。

 発注ミスで20万の商品が必要なところ200万仕入れてしまった!なんて事になっても身元保証人が肩代わりなんて話は聞いたことがありません。裁判になっても、そんなミスが起こる会社側のシステムがおかしいって判断になる場合が多いということでしょう。

 身元保証人になり、保証した人物が会社に損害を与えたとしても、その補償を請求されるケースは稀であり、請求額も限定されるというのが実際のようです。