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歴史年代ゴロ合わせ暗記>今昔物語集と芥川龍之介

今昔物語集と芥川龍之介

 
 今昔物語集は、平安時代後期に成立したといわれており、全31巻、およそ1000もの逸話を集めた現存最大の逸話です。ただし、巻8.巻18.巻21の3巻が残念ながら失われております。

 巻1から巻5までは、天竺、つまりインドの逸話が書かれており。巻6から巻10までが震旦(中国)の逸話。巻11以降は本朝(日本)の逸話が収められています。

 編者は、京都、奈良の寺社勢力であった南都北嶺(なんとほくれい)の僧侶という説が最近では有名ですがよくわかっておりません。

 ちなみに今昔物語という名も題名が書かれていたわけではなく、各逸話が「今ハ昔」で始まるところからこの名が付けられています。(原則的に「今ハ昔」で始まり、「トナム語リ伝ヘタルトヤ」で終わる)

 文体は漢文体に片仮名を交えられたもので書かれております。これは、各逸話の多くを漢文体の書物から書き写したためではないかと推測されます。

 内容としては、巻の前半が仏教逸話、巻21以降には世俗逸話がまとめられており、特に世俗逸話の方は一般民衆や武士、僧侶、学者、医師、盗賊までもが登場し混沌とした時代を生きにく姿が描かれております。

 そうした『今昔物語集』の文体と内容は近代の文学者にも大きな影響を与え、特に芥川龍之介は『羅生門』『鼻』『藪の中』など多くの作品を今昔物語集の逸話に現代の解釈を加え名作を生みだしています。

 ”今ハ昔、摂津ノ国辺ヨリ盗セムガ為に京ニ上ケル男ノ、日ノ未ダ明カリケレバ、羅城門ノ下ニ立隠レテ・・・”

 ”今となっては昔のことだが、摂津国のあたりから、盗みを働こうとして京にやってきた男が、まだ日が明るいうちだというので、羅城門の下に立ち隠れていたところ・・・”

 また、鎌倉時代前期の『宇治拾遺物語』では80ほどの話が今昔物語集と重複しております。