新自由主義 フリードマン
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ミルトン・フリードマン(1912〜2006年)は、アメリカ、ニューヨーク州出身の経済学者です。著書には「資本主義と自由」があり、76年にノーベル経済学賞を受賞しました。
フリードマンは、著書で「自由」という言葉が使われているように政府は国民の自由を尊重すべきといった考えや経済の自由を主張し「新自由主義の旗手」とも呼ばれいます。
では、もう少し詳しくフリードマンの主張について学んでいきましょう。
14の政府が行うべきではないこと
フリードマンは、「資本主義と自由」の中で14の政府が行うべきではない政策を述べています。
●農産物の買取保障価格制度
●輸入関税または輸出制限
●商品やサービスの産出規制
●物価や賃金、家賃に対する統制
●最低賃金や価格上限統制
●産業や銀行に対する詳細な規制
●通信や放送に関する規制
●現行の社会保障制度
●事業や職業に関する免許制度
●公営住宅および住宅建設の補助金
●平時の徴兵制
●国立公園
●営利目的の郵便事業の禁止
●公営の有料道路
ふ〜ん。って感じですかね。でも、よく見るとマジか!それいるだろ!っていうのも混じってますよ。
まずは、農産物の買取り保障価格制度ですが、日本でも米などで農家が赤字になるのを防ぐために似たような政策がありますね。フリードマン曰く、買取保障価格制度は、農産物を大量に出荷している農家では、この制度を使って多額の儲けを出すことができる。その一方で小さな農家は出荷している数が少ないわけだから政府が買い取ったところでたいした助けにはならない。また、消費者にしてみれば、税金を農産物の価格保証に使われた上に高いお金で農産物を買うことになるのでいらないってことです。
輸入関税は、どこの国でもやっていることですが、日本でも車など高い関税が掛けられていますね。だから、国産車の方が同じような性能なら比較的安く購入できるし外国車というと高級車のイメージが強いのではないでしょうか?フリードマンは、こういった政策も無用といいます。そんなことをすれば消費者が安くていいものが買えなくなってしまう!また、切磋琢磨して外国から入ってくる商品に負けないような商品をつくることが大切なのだという理屈です。
社会保障制度もいらないといいます。年金もそうですが、個人の所得を強制的に国が徴収して、大切な制度だと国が決めつけたものに勝手に使うのはいかがなものか?ということです。働いている間に個人がきちんと管理すればいいだけのことであるということですね。
職業に関する免許制度すらいらない。たとえば、医師免許。これもいらないってことです。免許がないと医療行為が行えないとなるとちょっとした風邪でも免許のある医者が診察しなければならない。これでは、医者が足りずに大きな手術や治療に支障をきたすっていう理論です。でも、素人の医者に見てもらって医療ミスなんてなったら嫌ですよね。しかし、そんなことが起きれば裁判で訴えてやればいいんだ。そちらの法律さえしっかりしておけば、素人が金儲けに医療行為をすることもなくなるし、腕のある医者がきちっと医療行為を行うことになるのだから免許などいらぬのだ!ということです。
日本でもフリードマンの理論を部分的に取り入れた例もあります。
たとえば郵政民営化。営利目的の郵政事業の禁止という14の中のひとつですね。
公営の有料道路もフリードマンがいらないとした14のひとつです。日本でも道路公団の民営化となりましたね。どちらも小泉総理の時代です。
この他にも企業のボランティア活動のようなものもフリードマンは疑問を投げかけています。株式会社であるならば企業は本来、利益を上げたら、その利益を株主に配分すべき。それなのに、儲かったお金を慈善活動に使うということは株主に対してどうなのか?会社は利益をしっかりと株主に配分し、それを受け取った株主がボランティアなどを行えばいいという訳です。
お金持ちから税金をたくさんとる累進課税にも否定的です。もともと累進課税は、所得の高い人からたくさんの税金をもらう仕組みですが、すでにお金を持っている資産家から税金をとるシステムではありません。これからお金持ちになろう!っていう人から税金をとる方式。まるでお金も稼ぐと罰則が与えられるようなシステムだからいらないといいます。
みなさんは、フリードマンの考えをどう思いますか?現在、日本にある制度。いる?いらない?と考えさせられる理論ですね。
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