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歴史年代ゴロ合わせ暗記>天皇の始まり

天皇の始まり


 日本書紀や古事記によれば、初代天皇は神武天皇ということになっています。しかし、この神武天皇を始め、第2代〜第9代までの天皇は「欠史八代」といわれ、政治的なエピソードや業績が残されていないため架空の人物ではないかという説が有力です。

 そして、第10代天皇である崇神天皇になると急に日本書紀では「民衆に租税を課す、戸籍の整備」といった具体的であり、現実的な内容が書かれ始めるため崇神天皇こそが初代天皇なのではないか?とも言われています。

 しかしながら、当時はまだ天皇という称号はありませんでした。

 では、天皇はいつ、どのような背景で成立したのか?

 現在の説では、7世紀後半というのが最も有力です。この頃の天皇が天武天皇です。

 それまでの大王号から天皇号へと転換されたわけです。従来の大王号は、ほかの王族や豪族でも「おおきみ」や「我が君」といった呼称が用いられていたこともあり、主君の名としては”特別感”が薄かったんですね。

 そこで、天皇は他の主君たちとは違うんだぞ!もっと偉いんだぞ!ということを明確にするため、また中国の「皇帝」に対置し、東の小帝国の主君だぞといった意味を込めて「天皇」という名称を成立させたといわれています。

 天皇という名称は北極星を意味するという説が有力です。北で動かず、空間の中心を象徴する存在。

 天武天皇は、天皇という存在を神に近づけようと考えたのです。

 天武天皇が天皇の称号を用いたのは壬申の乱に勝利したころといわれています。天皇の後継者争いで神の庇護を喧伝し、豪族を従え勝利した天武天皇。その後は、都合の悪い歴史書などは処理し、天皇の一代記として天皇を神に近づけるために日本書紀や古事記の編纂を命令。天皇の先祖は太陽の女神アマテラスのであるとされているのも、この歴史書の編纂のためですね。

 現在も皇室に伝わるさまざまな神事や儀式の中でには天武天皇が始めたといわれているものもあり、「大嘗祭(だいじょうさい)」という、その年に新たに収穫された穀物を神々と共に食し、皇位の継承を完成させる儀式などがそれにあたります。

 天武天皇は、天皇を神に近づけ、中央集権化を進めていくのです。天皇を中心とした国造りですね。天武天皇がこのように天皇という存在を神に近づけていなければ現在までの長きにわたる間、天皇を存続させていくことは不可能であったともいわれています。



 上の写真は奈良県の飛鳥池工房遺跡から見つかった天武天皇時代と思われる木簡。天皇という文字が書かれている。