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ルーベンス


 ルーベンスといっても美術に興味がある人以外ではピンとこないという人も多いでしょう。しかし、フランダースの犬で主人公のネロが一目見たいと願い、その絵の前で天に召されていくラストシーンを今でも鮮明に覚えている方ならわかると思います。

 その絵、「キリスト昇架」と「キリスト降架」の作者こそがペーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640年)なのです。

 
 (キリスト昇架 1610年-1611年)


 
 (キリスト降架 1611年-1614年)

 ルーベンスのキリスト昇架、キリスト降架は、キリストが十字架に架けられる姿と十字架から降ろさるる姿を描いた作品です。悲惨なシーンですのでもっと悲壮感を感じてもいいはずですが、なぜか華麗なイメージを感じる人も多いのではないでしょうか。

 

 それは、描かれている人物の多くがギリシャ・ローマ美術に登場するような肉体美で描かれていることにもよります。

 まるで、ギリシャ神話の神様のような肉体美ですよね。これは、ルーベンスがイタリア美術の影響を強く受けているからだといわれています。

 ルーベンスの出身はフランドル。現在のオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかかる地域です。この地域の画家たちの多くが若いころにイタリアにてバロック美術を学ぶことが一般的でした。ルーベンスもやはり若いころにイタリアで学び、その後、バロック美術の黄金期を支えていくことになります。

 そして、「王の画家にして、画家の王」と言われたルーベンス。彼のもとには宮廷からの多くの依頼が殺到。弟子を効率よく使い、大量生産システムを構築し、多くの作品を世に送り出していくのでした。

 

 天才的な美術家にして、イケメンだったといわれる彼は、さらに5カ国語を操り外交官としても活躍しています。

 そして、32歳の時に市の書記官の娘で当時17歳だったイサベラ・ブラントと結婚。2年後には長女クララ・セレーナが生まれます。

 

 この肖像画か描かれた時の彼女は5歳でしたが強い眼差しが象徴的で将来は父親に似て聡明な人物に成長したでしょう。ですが、残念なことに彼女は12歳でこの世を去ります。

 さらに、その3年後にはイザベラも死去。残されたルーベンスは悲しみにくれますが、4年後、イザベラの姪のエレーヌ・フリーマンと結婚(当時16歳)。ルーベンスは、彼女をモデルにして多くの作品も生み出しています。
 
  
 
 画家の王として活躍し、更にはマルチリンガルの外交官。さらには家族を愛するイケメンと完ぺきな人間であったルーベンス。フランダースの犬のネロが1度は見たいといった彼の作品、機会があれば一度見てみたいものですね。