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歴史年代ゴロ合わせ暗記>マイクロ経済スライドとは

年金制度・マクロ経済スライド

 
 年金が下がった?なんで下がったの?と疑問に思ってホームページで調べてみたがよくわからん!という人も多いのではないでしょうか?

 確かにちょっと複雑です。調べれば名目手取り賃金、物価変動率、そしてマクロ経済スライド。馴染みの薄い言葉ばかりが出てきます。

 今回は、我々の将来にも関係する年金制度とその年金が上がったり下がったりする仕組みについて解説していきます。ややこしいですけど、大切なことですのでゆっくり学んでいきましょう。

年金と物価、賃金の関係

 まず、年金制度についてですが、これは20年、30年と長い期間貰い続けるものですよね。当然、その期間に物価が上がることもあるわけです。現在、缶ジュースは100円程度ですが、10年後には200円になっていることだって考えられます。

 同じ年金金額を貰い続けていると今は何とか生活できているけど10年後、20年後になったら物価が上がってしまいとてもやっていけない!なんてことも想定できるわけです。

 そこで、世の中の賃金水準や物価が上がれば年金も上がる。逆に賃金水準や物価が下がれば年金も下がるという賃金や物価を年金に反映することになっています。

 なるほど、ここまでは理解できますよね。物価が上がれば年金も上げてもらわなければ生活できないですし、物価が下がれば年金が下がったとしても物の値段が安くなっているので生活できます。

 しかしです。あれ?それってやばくない?と感じた方はかなり鋭い!

 日本は少子高齢化が進んでいくと想定されています。物価が上がり続けた場合、年金も上がるわけですが、その年金はどこからきているのか?そう、多くは現役世代の給料から天引きされて年金に回されていますよね。つまり、物価が上がり、年金が上がる。でも、少子高齢化でその年金を支えている現役世代はどんどん減っていくわけです。そうです。現役世代、ひとりひとりの負担が大きくなってしまうんですね。多少賃金が上がったとしても物価も上がっているので大変です。

 そこで「マクロ経済スライド」の登場というわけです。

 
年金とマイクロ経済スライド

 日本の平均余命は毎年0・3%伸びているという試算があります。そこでマイクロ経済スライドでは年金を貰っている皆さんに毎年0.3%づつ我慢してもらいましょう!ということになっています。

 さて、簡単な例を見ていきます。

 前年度の名目手取り賃金がプラス1%だったとします。この場合、本来の年金額もプラス1%となるわけですが、それだと現役世代の負担が将来的に厳しくなるため「ちょっとだけ我慢してね!」ってことでマクロ経済スライド0.3%が発動します。この年の場合は本来増えるべき年金額プラス1%からマイクロ経済スライド0・3%を引いた0・7%の年金が増えるという訳です。

名目手取り賃金+1% 本来の年金額+1% マイクロ経済スライド−0.3% 年金額+0.7%

 では、もうちょっと複雑な例です。

 前年度の名目手取り賃金が0%だった場合。本来の年金額も増減なしの0%ですね。あれ?この状態でマイクロ経済スライドが発動したら年金額は前年よりマイナス0・3%されちゃうんじゃないの?と思いますよね。しかし、大丈夫!基本、物価変動率が0%なら年金を減らす訳にはいかないのでマイクロ経済スライドは「キャリーオーバー」になります。

名目手取り賃金±0% 本来の年金額±0% マイクロ経済スライド・キャリーオーバー 年金額±0%

 では、次に物価が下がった場合です。

 前年度の名目手取り賃金がマイナス1%だった場合。年金額もマイナス1%です。この場合もマイクロ経済スライドはキャリーオーバーとなります。

名目手取り賃金−1% 本来の年金額−1% マイクロ経済スライド・キャリーオーバー 年金額−1%


 つまり、名目手取り賃金がゼロ以下の場合にはマイクロ経済スライドは発動せずキャリーオーバーになるという訳です。

 ん?キャリーオーバー?

 そうです。名目手取り賃金がゼロだろうとマイナスだろうと基本的に少子高齢化は進んでいきます。つまり、ずっと名目手取り賃金がゼロだったとして年金額の増減もゼロだとしても現役世代は減り、ひとりひとりの負担は増えていきますよね。ですから、年金額の増減がゼロ以下の場合にはキャリーオーバーにすることになっているんです。

 つまり、前年度の名目手取り賃金がプラスマイナス0で年金額の増減もなかった場合にはマイクロ経済スライドの0・3%はキャリーオーバーですね。翌年の名目手取り賃金がプラス2%だったとします。するとマイクロ経済スライの0・3%とキャリーオーバーされた前年の0・3%が追加され本来増えるべき年金額はプラス2%からマイナス0・6%減らされ1・4%が年金の増加金額となります。

名目手取り賃金+2% 本来の年金額+2% マイクロ経済スライド−0.3%+前年度キャリーオーバー分・−0.3% 年金額+1.4%

 ここまでは、なんとなく理解できましたか?

 次に名目手取り賃金と物価上昇率のお話です。こっちはそれほど複雑じゃありませんよ。

名目手取り賃金と物価上昇率

 先ほどから例に挙げていたのは名目手取り賃金と年金の関係性でした。名目手取り賃金が増えれば年金も基本的には増え、減れば減るってことですね。

 しかし、法律上のお話をしておきますと68歳未満の方は名目手取り賃金により年金の増減を決める。68歳以降は物価変動率によって年金の増減が決まるとなっております。

 ただし例外があります。

 68歳に達した年金受給者の方でも次の3つの場合は物価変動率ではなく名目手取り賃金によって年金の増減が変わってくることとなります。

 @物価も賃金もプラスであるが賃金が物価の伸びよりも低い場合。
(例:物価+2%・賃金+1%・この場合賃金変動率によって年金額が決まる)

 A物価はプラスだが賃金がマイナスの場合。
(例:物価+2%・賃金−1%・この場合も賃金変動率によって年金額が決まる)

 B物価も賃金もマイナスだが賃金の落ち込みの方が大きい場合。
(例:物価−2%・賃金−3%・この場合も賃金変動率によって年金額が決まる)

 つまり、どれだけ物価が上がっても賃金が増えないと年金は増えないという訳です。すでに現役を引退した方は賃金の増減など気にされていない方も多いと思いますが、実際には年金世代にも賃金の増減は自身の年金に多いくかかわってくるわけですね。

 まぁ、賃金が増えなければ、それだけ現役世代の年金に対する負担が大きくなるので当然といえば当然ですが・・・。

 年金に関してはこういった複雑な仕組みもあります。しっかり学んで理解しておくことも大切ですね。