景気動向指数
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景気動向指数という言葉は聞いたことがある人が殆どでしょう。政府が毎月発表しているので経済ニュースとか見ていると出てきますね。
まぁ、普通は「ふ〜ん。景気良くなってるんだ」とか「うわぁ、景気が落ち込んでるのか」と聞き流している程度かと思います。しかし、よくよく考えると政府はどのようにして、この景気動向をよんでいるのでしょうか?
景気動向指数には「先行指数」「一致指数」「遅行指数」と3つの系列があります。それらを理解しているとより一層、景気動向指数を理解することができます。
先行指数(先行系列)
これは、景気に先立って見えてくるものです。
先行指数には全11項目あり新規求人数、新設住宅着工床面積、最終需要在庫率指数、鉱工業用生産財在庫率指数、実質機械受注、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、投資環境指数、東証株価指数、中小企業売り上げ見通しをまとめ、数値化したものが先行指数となります。
新規求人数は新しく採用したいという求人の数ですね。求人が多いということは会社が事業を拡大しようとして働いてくれる人を探している場合が多いんですね。つまり、新規求人が増えるということはこれから景気が上がっていく可能性があるというわけです。
新設住宅着工面積は、住宅っていうと高い買い物ですね。住宅がいっぱい建つということは、それを建てるために働く人も増える。材料を売る人も儲かる。また、家具や家電も売れるので景気が良くなるんじゃないかな?ってことです。
その他、消費者態度指数では、消費者へアンケートを行い消費者の意識を調査したり、実質機械受注ではメーカーが受注した設備投資用の機械の数を調査していします。設備用機械を買うということは今後、生産が増えるということですから景気が上がる可能性がありますね。
このように「先行系列」ではこういうものが増えてきたらこれから景気がよくなるんじゃないかな?または景気が悪くなるんじゃないかな?というものを数値化したもので、この指数によって近い未来の景気をある程度見通すことができるわけです。
一致指数(一致系列)
この一致指数は、まさに今、景気が良ければ上がっているし、現状、景気が悪ければ下がっている。つまり、時間が一致しているというものです。
例えば、所得外労働時間指数、これは残業です。企業が残業をさせるということは、仕事が増えているということですね。また、残業代が出れば「今月は給料がよかったからちょっといいものでも食べるか」なんてことにもなりますよね。
商業販売額。まぁ、これはズバリですね。商業の売り上げが上がっているということは景気がいい証拠です。
その他にも生産指数、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数(家電や車などの出荷指数)、投資財出荷指数、営業利益、有効求人倍率なども調べています。
遅行指数(遅行系列)
これは、景気の動きに少し遅れてくるんです。
家庭消費支出は、給料が少しが下ったからといって、いきなり家系の支出を減らすことはできませんので少し遅れて景気に影響を与えます。
完全失業率は、労働力人口に占める完全失業者の割合です。働いていなくても、仕事を探していない人などは完全失業者にはなりません。
たとえば、父親が仕事を失い仕事を探し始めたとすると父親は完全失業者となります。それまで主婦であった母親も父親の仕事がないので仕事を探し始めるとすると母親も完全失業者となります。大学生の息子がおり、彼も家計のために働こうと考え仕事を探し始めれば、彼も完全失業者です。
景気が良くなり始めると求人が増えるので父親の仕事が見つかります。すると父親は完全失業者ではなくなりますね。母親も仕事が見つかる。或いは父親が就職できたので仕事を探さなくなったとなると母親も完全失業者ではなくなります。息子も元通りに大学生を続けようと考え、仕事を探さなくなれば完全失業者でなくなります。
このように完全失業率は景気に遅れて増えたり改善されたりします。
この他にも第三次産業活動指数、実質法人企業設備投資、法人税収入、消費者物価指数、最終需要財在庫指数、きまって支給する給与などが遅行指数として計算されます。
景気動向指数の系列は、時代と共に増えたり減ったりします。たとえば、以前は一致系列にて大口電力使用量などを調べていました。これは、大口の電気契約をしている工場などの電気使用量が増えれば生産が増えているといえたのですが、現在では、省エネ努力などにより電気使用量と生産の兼ね合いが薄れてきたため現在では外されております。
ニュースなどで流れてくる言葉をなんとな〜く聞いていてもそれなりに意味はわかりますが、詳しく知っていると知らないとでは大違いです。わからない言葉が出てきたらネットなどで調べてみるとニュースがより一層、面白くなりますね。
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